Shine~Masato & Hina story~
第10章 エピソード9
「うん」
「…って事は、その30人は見た目はもちろん内面も歳相応の奴らばっかりだと思うか?」
「ううん、違うと思う」
「だろ?見た目だけとったとしても実年齢よりも上に見える奴もいるし、下に見える奴もいる」
「うん」
「内面だって家族構成や育ってきた環境で大人びている奴もいれば、幼い奴もいる」
「うん」
「結局、歳なんてもんは1つの基準にしかすぎねぇーんだ」
「うん、そうかもしれないね」
マサトの話に妙に納得した私は大きく頷いた。
「だから、俺よりヒナが年上でも関係ねぇーんだ」
「…うん…」
「自分より年上だろーが、歳下だろーが人として尊敬できる部分があればその縁を大切に付き合っていけばいいし、人としての魅力がねぇーならそれだけの人間だって切り捨ててしまえばいい」
マサトは指に挟んでいた、短くなったタバコを灰皿に押し付けた。
いままで燻【くすぶ】っていた煙が一瞬にして途絶える。
それをみながら、私は単純にマサトをすごいって思った。
とてもじゃないけど、18歳の男の子が言うようなセリフじゃない。
マサトの言葉は当たり前だと言えばそうなのかもしれない。
だけど、それに気付いて理解している人ってこの世の中にどのくらいいるんだろう?
マサトは人生ってものをすでに悟っているのかもしれない。
そう思わずにはいられなかった。
この時の私はまだ気付いていなかった。
私自身がマサトっていう人間を尊敬しているっていう事にも…。
マサトっていう人間に魅かれ始めている事にも…。
私は気付いていなかった。
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