Shine~Masato & Hina story~
第10章 エピソード9
「具合?」
「あぁ。」
「・・別になんともないよ。」
「本当か?」
「うん、全然平気。ちょっと考え事をしてただけ。」
「そうか?」
「うん!!」
私がニッコリと微笑むとマサトはようやく安心したような表情を浮かべた。
◆◆◆◆◆
テーブルの上には、グツグツと美味しそうな匂いの湯気を登らせる土鍋。
この土鍋は一人暮らしを始めてすぐに密かに購入していた。
冬になって寒くなったらお鍋を食べたくなるはず!!
そう思って購入していたけど
私は重大な事実に気付いていなかった。
その時の私は、自分がこれから一人暮らしをするという事をすっかり忘れていたのだ。
一人暮らしだということは、土鍋なんて買ってもめったに使う機会なんてない。
1人で鍋を食べるなんてかなり寂しすぎるし
かと言って、わざわざ誰かをウチに呼ぶのも面倒だし・・・。
この土鍋は買ってからずっと箱に入れたまま棚に仕舞われていた。
だから、今日が初使用になる。
まさか、真夏に使うなんて思いもしなかったけど・・・。
何はともあれ、この土鍋が無駄にならなくて良かった。
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