Shine~Masato & Hina story~
第9章 エピソード8
・・ヤバイ!!
コケちゃう!!
咄嗟に私はそう思った。
・・自慢じゃないけど私はよく転ぶ。
身長が低いっていうコンプレックスを隠す為にヒールの高い靴をいつも履くっていうのも理由のひとつではあるけど
その理由っていうのは多分・・いや、確実に私がそそっかしいからで・・・。
じゃあ、それをどうにかすればいいじゃんっていう話なんだけど
自分では細心の注意を払っているつもりでも、周りの人からみれば無用心な感じに映ってしまうらしい。
そんな私には特技みたいなものがある。
それは、転びそうになった瞬間にそれがどのくらいの被害を自分にもたらすかって事を予想できたりする。
これが本当に特技と呼べるほど大そうなものなのかは微妙なんだけど・・・。
今だってこのままバランスを立て直すことが出来なければ、私は相当な勢いを保ったままスーパーのど真ん中でそれはそれは盛大に横転してしまうことになる。
夜とはいえ24時間営業のスーパーにはたくさんのお客さんがいる。
そのたくさんの視線を私は一瞬にして集めることができるくらいに盛大に・・・。
まぁ、外のアスファルトの上で転ぶよりはこのツルツルに磨き上げられた床の上で転んだ方が傷的な被害は少ないかもしれない。
でも、眩しいくらいの照明が灯る店内でこれだけ大勢の人に注目されてしまうのは精神的に受けるダメージは計り知れない。
数秒後に自分がおかれるであろう状況を考えると、どうにかその状況を回避したいと思うけど・・・。
・・もう手遅れだった・・・。
どんなに手足をジタバタと動かし傾いた体勢を戻そうとしても重力に逆らえるはずもなく・・・。
ただただ、そそっかしい自分を恨むしかなかった。
全身に受けるだろう衝撃を覚悟した私。
だけど、いつまで経っても私がスーパーの床に寝そべる事はなかった。
その代わりに私が感じたのは、腰周りを力強く支えてくれる感触だった。
・・あれ?
恐る恐る固く閉じていた瞳を開いてみると
至近距離にマサトの顔と固くて広い胸があった。
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