Shine~Masato & Hina story~
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発行者:桜蓮
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2014/02/10
最終更新日:2014/02/15 23:17

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Shine~Masato & Hina story~ 第5章 エピソード4
なんでこの人はそんな事を聞くんだろう?

・・っていうか、なんで私も答えてんだろう?

「・・駅か。」

その人は小さく頷いて再び歩き出した。

繁華街のメインストリートを駅の方に向かって・・・。

・・・?

送ってくれるのかな?

でも、さっき私は断ったし・・・。

たまたま行く方向が同じなのかもしれない。

私の家の場所を聞いたのも気まぐれかもしれないし・・・。

田舎者の私が知らないだけで、都会の人は挨拶みたいな感じで住んでいる場所を聞くのかもしれない。

だから、あれはきっと社交辞令みたいなモノに違いない。

そう理解した私はまた数歩離れてその人の後ろを歩き出した。

いつもと同じくらいの速さで歩く私。

だけど、その人との距離は離れも近付きもしない。

その距離を保ちながら私はその人の後ろ姿を眺めていた。

薄暗い路地でははっきりと見えなかったその姿が繁華街の人工的な光に照らし出されている。

大きな身体。

長い足。

広い背中。

大きな靴。

黒くて長めの髪はおでこの生え際から後ろに向かって細く編み込まれている。

バイト先の控え室に置いてあった雑誌で見たことがあるその髪型。

確か、“コーンロウ”って名前の髪型だったと思う。

・・そう言えば、服装も雑誌に載っていたモデルさんが着ていた服に似ている気がする。

この人はそういうのが好きなんだ。

人の歳を当てるのはあまり得意じゃないけど・・・。

多分、この人は私より年上だと思う。

別に聞いた訳じゃないけど、私には確信があった。

それは、出会ってすぐにそう思って言葉を交わすごとに確信に変わっていった。

この人の雰囲気も話し方も・・・。

この人は年下でも同級生でもない。

だから私の口からは自然と敬語が出てきた。

ずっとその人の背中を見つめながら歩いていた私は、今度はちゃんと気付くことが出来た。

その大きな背中が止まったことに・・・。

その人が足を止めたことに・・・。

ずっと前を見て歩いていたその人が振り返った。

何かを話し掛ける訳でもなく数歩後ろを歩いていた私を見つめている。

「・・・?」

ずっとその背中を見つめて、後姿を観察をしていたのに、いざその人が自分を見つめている事が私は不思議で仕方がなかった。

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