Shine~Masato & Hina story~
第15章 エピソード14
「私が打ち込むんで、読み上げてもらってもいいですか」
「あぁ、頼む」
店長が座っていた席を空けてくれたから、私はそこに腰を降ろした。
その席から1つ椅子を空けて店長は座った。
店長が読み上げた数字を私が打ち込んでいく。
私の手元を見ながら
「ヒナちゃん早いね~」
感嘆の声を漏らした店長に
『私が早いんじゃなくて店長が遅すぎるんです』
とは言えず、困惑の笑みだけを浮かべていた。
◆◆◆◆◆
書類の作成は2時間弱で終わった。
店長が一体何をどう考えて“1時間”という時間を最初に提示したのかは分からないけど
「ヒナちゃん、残業手当つけとくね」
その言葉で単純な私は全てを水に流すことにした。
机の上に広げられていた書類を片付けながら
「ヒナちゃん、この後何か用事ある?」
店長は尋ねた。
「・・・いや、別に」
私は大きな背伸びをしながら答える。
「飯でも食いに行こうか?」
「え?今からですか?」
「うん」
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