Shine~Masato & Hina story~
第15章 エピソード14
「うん、急ぎで書類を作って本部に提出しないといけないんだ」
「それは大変ですね」
「だろ?ただでさえ事務系の仕事は苦手なのに、今日中とか絶対無理に決まってるじゃんね?」
「え!?そんなに大変なんですか?」
「う~ん、大変っていうか」
「・・・」
「苦手なんだよね」
「苦手?」
「そう、俺、パソコンの操作が苦手なんだよね」
驚きの発言をサラリとぶちかましたのは、カラオケボックスの店長をやってる中村さん(28)だった。
「・・・あの、店長」
「うん?」
「パ・・・パソコンの操作が苦手って・・・」
「うん」
「この仕事にパソコンの操作は必須ですよね?」
「うん、そうだね」
店長は意味不明な笑みを浮かべて頷いた。
その笑みは明らかに営業スマイル的な笑みに近いもので・・・。
そんな店長を私は呆然と眺めていた。
・・・パソコンの操作が苦手って・・・。
カウンターの受付業務も
在庫の管理や確認も
商品や消耗品の発注も
全てパソコンでやってるんですけど!?
それに私みたいなバイトには関係はないけど
売上げとかのお金関係の管理だって、スタッフの勤務状態だって全部コンピューター管理で店長がそれをやってるはずだと思うんですけど!?
「あっ、全然出来ない訳じゃないんだよ。頑張ればなんとかそこそこ出来るんだ」
「・・・じゃあ、頑張ってそこそこやってみてください・・・」
「今日はどんなに頑張っても無理だと思う」
「はい!?」
「時間的にどうしても間に合わない」
「え!?」
「すげぇ、遅いんだよ」
「お・・・遅い!?一体、なにが遅いんですか?」
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