Shine~Masato & Hina story~
第15章 エピソード14
「ヒナちゃん、最近元気ないんじゃない?」
私の顔を心配そうに覗き込むのは
最近、一緒にいる時間が急激に長くなったパートのおばさま。
結婚して今年で20年を迎えるという彼女は
私の両親とあまり歳が変わらなかったりする。
サバサバとした性格で、何でも率先してやり遂げてしまう彼女は昼間の時間帯にの責任者だったりもする。
「そ・・・そんなことないですよ、土井さん」
「そう?」
「はい、ちょっとお腹が空いただけです」
私の苦し紛れの言い訳に土井さんは受付カウンターの壁に掛けてある大きな時計に視線を向けた。
「そう言えばヒナちゃん休憩だったね?いいよ、行ってきて」
「えっ!?でも、休憩まであと10分程・・・」
「いいの、いいの。今日はお客さんも少ないし。それに全室の掃除もヒナちゃんが頑張ってくれたお陰でいつもより早く終わったんだから」
土井さんはそう言ってくれたけど
お掃除が早く終わったのは、土井さんをはじめとするパートのおばさま方がテキパキと段取りよく動いてくれたお陰であって決して私のお陰なんかじゃない。
ただ私は土井さんの指示にしたがって黙々と動いていただけなんだけど・・・。
「ほら、早く休憩入って何か食べておいで」
なんとなく申し訳ないと思いつつも
土井さんの心遣いが嬉しかった私は
「ありがとうございます」
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