Shine~Masato & Hina story~
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発行者:桜蓮
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2014/02/10
最終更新日:2014/02/15 23:17

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Shine~Masato & Hina story~ 第5章 エピソード4
差し出したハンカチを受け取ろうとしないその人。

「……これ、使ってください」

「いや……いい」

「でも、血が……」

「これは、俺の血じゃない」

……?

俺の血じゃない?

どういう意味?

断られてもハンカチを差し出している私をその人は困ったような表情で見つめている。

その表情を見てやっと言葉の意味が分かった。

どうして、この人の手に自分のモノじゃない血が付いているのか……。

私はその人の手首を掴み力いっぱい自分の方に引き寄せた。

「……!?」

私の行動にその人が驚いているのが分かる。

……だけど……。

今はそんな事気にしている場合じゃない。

私は引き寄せた大きな手をハンカチで力いっぱい拭き始めた。

「お……おい」

その人が焦った声を出したけど私は聞こえないフリをした。

薄い布地にその人の手に付着していた液体が染み込む。

付着してそんなに時間が経っていなかったらしくある程度は拭き取る事が出来た。

その人は焦った声を出したわりには私の手を振り払う事もなく大人しくされるがままだった。

「……よし!!」

その人の手を月明かりに照らして確認した後、私は大きな手を放した。

淡い水色のハンカチは紅の液体を吸い込み所々に染みを作っている。

私はそのハンカチを小さく折り畳みバッグの中に入れようとした。

「……おい」

私はその声に動きを止めて視線を向けた。
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