Shine~Masato & Hina story~
第14章 エピソード13
それ以上にマサトの声を聞きたいと思う私がいた。
そんな事を考えていると、マサトの傍にいた男の子達が数人集団の輪から離れていった。
これは絶好のチャンスに違いない。
人数が減ったお陰で、話し掛け辛さはかなり軽減したように思える。
私は、地面に縛り付けられていた足を動かし近くにあった横断歩道へと向かった。
まだ、信号は赤に変わったばかりのようで青に変わるまでには時間が掛かる。
時間が掛かると言っても、それは1分位の時間なんだけど・・・。
その時間すらも私には長く感じた。
早く、変われ!!
心の中で祈りつつ、ふと視線を動かすと相変わらずダルそうに建物の壁に寄りかかっているマサトが視界に映る。
いつもよりも鋭い眼のマサトは、真剣な表情で傍にしゃがみ込んでいる男の子の話を聞いているようだった。
時折、相槌を打つように微かに動かされる顔。
胸の前で組まれていた腕がゆっくりと動き
その右手がズボンのポケットへと隠れる。
再び、出てきた右手に握られていたのはタバコの箱だった。
赤いラインの入ったそれはいつもマサトが吸っているタバコ。
その箱から直接1本口にくわえたマサトは見とれるくらいの所作で先端に火を点した。
ゆっくりと吐き出される白い煙。
学ランを着ているマサトがタバコを吸うのはいけないことなのに・・・。
マサトを見つめていた私は
・・・なんか、かっこいい・・・。
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