Shine~Masato & Hina story~
第11章 エピソード10
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それから2時間程、話をして深夜にマサトは帰って行った。
「遅いから泊まっていったら?」
大人ぶってそう言った私の言葉をやんわりと丁重に断ったマサトはやっぱり私よりも全然大人だった。
「簡単に男を家に泊めるんじゃねーぞ」
笑いながらそんな注意までしてマサトは帰って行った。
帰る間際に、玄関で靴を履いていたマサトが
「あっ」
何かを思い出したように動きを止めた。
「え?なに?忘れ物?」
「ケイタイの番号教えてくんねぇ?」
マサトのその言葉に私の顔は自然と綻【ほころ】んだ。
ポケットに入れていた、ケイタイをマサトに手渡すと
マサトは慣れた手付きを通り越して神業的スピードで機種の違う2つのケイタイを同時に操っていた。
あっという間に私の手元に戻ってきたケイタイにはマサトのケイタイの番号とアドレスが登録されていた。
それを見た私の心はなぜかポカポカと温かくなった。
階下【した】まで見送ろうとする私を、玄関に押し込んだマサトは
「すぐに鍵を閉めろよ」
そう言ってドアを閉めた。
言われた通り、ドアが閉まってすぐに施錠するとその音を確認してから足音がドアの向こう側で離れて行った。
心配性らしいマサトの一面に、私は1人でクスクスと笑いを零した。
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