Shine~Masato & Hina story~
第11章 エピソード10
「常に狙われてる」
「ね…狙われてる!?」
「あぁ」
小さく頷いたマサトが再びタバコの箱に手を伸ばす。
「それって…どういう意味?」
「山神のトップを選ぶ方法は前代からの指名制じゃない。トップを取りたいと思うなら方法は1つだ」
「…」
マサトは、手にしたタバコの箱を弄【もてあそ】ぶようにテーブルの上に角だけを着けクルクルと器用に回転させる。
「山神のトップに立ちたいなら、トップの男を潰すしかない」
そう言い放ったマサトの眼は鋭く、威圧的で…。
「…」
それは私が初めて見るマサトの眼だった。
私が知るマサトとはまるで別人のようで…。
そんなマサトに私の身体は一瞬にして固まった。
「山神のトップは常にその立場を狙われてる」
「…うん…」
「確かに、トップに立ってる時はそれなりの権力や決定権を持つ。だけど、それはいつ崩れるかも分からない不安定なものなんだ」
「…そうなんだ…」
「あぁ。だから…」
「…?」
「そんな状態で体育祭なんてしたら、乱闘騒ぎになるのは一目瞭然だろ?」
「そうだね」
「だから、山神には体育祭はない。体育祭だけじゃなくて、普通の学校だったらあるような行事もない」
「うん、それが賢明だね」
107