Shine~Masato & Hina story~
第11章 エピソード10
「うん」
「当然、その女もその暗黙の了解を知っていた」
「うん」
「で、山神の生徒に声を掛けられた女はすっげぇ怯えていたんだよ」
「だろうね」
「怯えまくっていたその女は、話し掛けてきた山神の生徒の話になんか耳を貸そうとしなかった。…てか、話を聞く余裕なんてなかったんだろうな」
「うん」
「それで途方に暮れたその先輩は、その女を少しでも落ち着かせようと自分の家に連れて行った」
「それって合意の上じゃなかったんだよね?」
「あぁ」
「…ってことは、それって世間一般では拉致って言うんじゃ…」
思わず呟いた言葉にマサトは苦笑いを浮かべた。
そんなマサトの態度が肯定の意だと悟った私は息を飲んだ。
「んで、その日から5日かけて先輩はその女を口説いたんだ」
「は!? 5日!?」
「…あぁ…まぁ、結果的にはその女は自分の意思でその先輩と付き合う事をきめたらしいんだけど…」
「…う…うん」
「その結果に至るまでに、拉致と軟禁みたいなもんがあったってのも事実だから、その噂も全てが真実じゃないって訳でもない」
「で…でも、その女の子が2度と家に帰れなかったっていう事はないんでしょ?」
「実際、その女はその後も家には帰っていない」
「はい!?」
「その女が先輩の家に連れて行かれてから6日目に、その子の母親が先輩の家に行ってるんだ」
「お母さんが行ったって事は娘を迎えに行ったんじゃないの!?
「確かに、母親はそのつもりで行ったと思うんだけど…」
「けど?」
「母親がその先輩の家に行った時には、その女と先輩は付き合うって話になっていたらしくて、2人の意思でそのまま同棲を始めたらしい」
「はぁ!?」
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