Pure Heart~葵とケンの物語~
第2章 失望
「多分、公立の中学校だと思う」
「それって何時くらい?」
「20時近かったと思う」
「普通に歩いていただけ?」
「それが……」
「莉央?」
「……手……繋いでた……」
「……そっか……」
私は頭の中が真白になっていた。
「あっ!! でも、私の勘違いとか見間違いとかかもしれないから、1度アツシ先輩に聞いてみた方がいいかもしれないよ」
「うん。そうだね」
「……葵……」
「うん?」
「ごめんね。こんな話しちゃって……」
「なんで、莉央が謝るの?……てか、教えてくれてありがとう」
「……」
「私に話すか相当悩んでくれたんでしょ?」
莉央は小学校からの親友。
小学生の頃は、莉央ともう一人の親友、愛菜【まな】といつも3人一緒だった。
小学校を卒業して、愛菜は公立の中学校に進学し
私と莉央は聖鈴を受験して合格し入学した。
それでも、私達は時間さえあれば3人で遊んでいた。
昨日だって本当は3人で遊ぶ約束をしていた。
でも、前日の夜にアツシから連絡があって放課後に遊ぼうって言われたから、莉央や愛菜に謝って約束を断っていた。
放課後、アツシと一緒にゲーセンに行って、ご飯を食べている途中にアツシのケイタイが鳴った。
席を離れて話していたアツシは、戻って来るなり
『急用が出来たから帰る』
と言い出した
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