Pure Heart~葵とケンの物語~
Pure Heart~葵とケンの物語~

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発行者:桜蓮
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:Pure Heart~葵とケンの物語~

公開開始日:2014/02/10
最終更新日:2014/02/15 17:43

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Pure Heart~葵とケンの物語~ 第2章 失望
◆◆◆◆◆

アツシを先に好きなったのは私だった。

私より1学年上のアツシと出会ったのは、私立 聖鈴学園。

私が通う学校だった。

聖鈴学園は中等部から大学部まで一貫教育の私立校。

私が中等部の2年生で、アツシが3年生。

学年の違う私達の唯一の接点は、同じ委員会だったこと。

進級したばかりの4月。

じゃんけんで負けてしまいクラス委員になってしまった私とくじ引きの結果、クラス委員になってしまったアツシ。

そんな私達は、基本月1ペースで開かれる“クラス委員会”という名の会議に強制的に参加することになった。

2年A組だった私と3年A組だったアツシの席は偶然というか、必然的というか隣同士だった。

委員会に出席している生徒達の中に友達はもちろん知り合いすらいなかった私は、その時間を持て余していた。

生徒会の役員達が会を進める中、私がする事と言えば、決定事項をクラスメイトに伝達する為にメモを取るくらい。

聖鈴の生徒会は中等部と高等部合同で構成されているとはいえ、発言権や決定権を持つのは必然的に高等部の生徒であり、中等部のクラス委員はただそこにいればいいという感じだった。

だから、私が何か意見を求められるような事はもちろんなく黒板に綺麗な文字で綴られる決定事項をメモ帳に書き写すだけという退屈極まりない時間を過ごす羽目になっていた。

そんな私に先に話し掛けてきたのはアツシの方だった。

あれは3回目の委員会の時だった。

議長兼生徒会長の声が室内に響き渡る中、暇を持て余した私は持参していたメモ帳に落書きをしていた。

委員会が開かれる会議室の窓から見える紫陽花。

明るい青色の紫陽花は今が満開らしく、日々降り続ける雨の雫を身に纏い誇らしげに咲き乱れていた。

その紫陽花を黙々とメモ帳に書き写していると

「……上手いな……」

小さな声が聞こえてきた。

咄嗟に声がした方に視線を向けると、いつもは机に肘を立てその上に顔を載せ、瞼を閉じているアツシが、そのままの体勢で視線だけを私のメモ帳に向けていた。

自分のメモ帳とアツシの顔を交互に数回見た私はようやくそこで自分が置かれている状況を思い出した。

会議中に話も聞かずに黙々と落書きなんて……。

「あ……あの…これは……」
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