Pure Heart~葵とケンの物語~
第2章 失望
「もう、いい加減にしてよ……」
もう声を荒げる気力も無くなっていた。
「……葵……」
目の前で申し訳なさそうに睫毛を伏せるアツシ。
アツシのこんな表情を見るのだって、もう何度目か分からないし、正直、見飽きた感だってある。
「どれだけ浮気したら気が済むの?」
心の中には、怒りが渦巻いているけど私が発した声は自分でもびっくりするくらい冷静なものだった。
「葵?」
いつもとは違う私の異変に気付いたらしいアツシが驚いた表情を浮かべて視線を上げた。
「もう何度目?」
「……」
「何度、浮気すれば気が済むの?」
「…ごめん…」
「その言葉だって何度聞いたかもう分からない」
「……」
「本当に悪いだなんて思ってないんでしょ?」
「そんな事は……」
「ないって言いきれるの?」
「……」
「じゃあ、なんで浮気するの?」
「……」
「しかも、なんですぐにバレるような浮気をするの?」
「……」
「……答えられないんだ」
「……葵……」
「もう、いい」
私は、勢いよく立ち上がると出入り口のドアの方に向かって歩き出した。
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