Pure Heart~葵とケンの物語~
第14章 制裁と慈悲と罪と罰③
「ケンさんは大丈夫だぞ」
「え?」
「ケンさんは絶対にお前を傷付けたしない」
「……」
「何があっても全力で守ってくれる」
「……」
「それだけは、絶対に忘れるな」
「うん」
その場にいたわけじゃないから、私には噂話と海斗から聞いた話しのどちらが真実かは分からない。
だけど、アツシと一緒に私を嘲笑っていたサエっていう人と海斗。
どちらの言葉を信じるかと問われれば
私は間違いなくこう答える。
姉思いの弟である海斗の言葉を信じると……。
そう決めた途端、こみ上げてくるのはケンさんに対する罪悪感で……。
私は胸がチクリと傷んだ。
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