Pure Heart~葵とケンの物語~
第14章 制裁と慈悲と罪と罰③
「……」
「実際、噂を聞いたお前は傷付いて自分を責めた訳だし」
「……あっ……」
「ケンさんはそれを見越して手を打ってくれたんだ」
海斗の口から語られる真実に私はただ驚く事しかできなかった。
「なぁ、葵」
「……なに?」
「噂は所詮噂だ」
「は?」
「噂は真実じゃねぇ」
「……」
「聞いた噂はいったん忘れろ」
「……」
「んで、俺の話を聞いてから決めろ」
「決める?」
「ケンさんから離れようと思ってんだろ?」
「……」
「俺の話を……噂じゃなくて真実を聞いてもケンさんと距離を置きたいと思うならそれも仕方ねぇと思う」
「……」
「でも、噂を鵜呑みにして決断すると後悔すんぞ」
「後悔?」
「あぁ、絶対後悔する」
「……」
はっきりと海斗に言い切られて私は言葉を失った。
そんな私に海斗は教えてくれた。
私が知らなかった真実を……。
◆◆◆◆◆
私と焼肉屋さんに行った日。
私を家まで送り届けたあと、ケンさんは早速行動を起こしてくれたらしい。
アツシに関する情報を一晩でできる限り集めたケンさんは、B-BRANDのメンバーでアツシの知り合いである人にお願いして、連絡をとったらしい。
アツシの携帯番号は分かっていたけど、突然、電話をすることはなく、ケンさんの携帯の番号と電話をして欲しいということを伝えたらしい。
ケンさんが感情的な行動をすることは決してなく
あくまでも友人というスタンスを崩さず
終始冷静だったと海斗は話してくれた。
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