Pure Heart~葵とケンの物語~
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発行者:桜蓮
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ジャンル:恋愛
シリーズ:Pure Heart~葵とケンの物語~

公開開始日:2014/02/10
最終更新日:2014/02/15 17:43

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Pure Heart~葵とケンの物語~ 第14章 制裁と慈悲と罪と罰③
「な……なに?」

「お前、ケンさんの何を見てんだ?」

「え?」


「少なくともここ最近は誰よりもケンさんの傍にいただろーが」

「……」


「そこでお前は一体、何を見ていたんだ?」

私に問う声はどこまでも低くて冷たい。

怒っているというよりは蔑まれているような印象を受ける口調


に私は自然と背筋を伸ばしていた。


「な……なにって……」


初めて見る弟の表情に、私は完全に気圧されてしまっていた。


「全部、教えてやる」


「……」

「だけど、その前に1つだけ言っておく」

「……!?」

「その辺のバカ女みてぇになってんじゃねぇーぞ」


低い声できっぱりと言い放たれた言葉は、その意味を頭が理解するよりも先に心に突き刺さり、そして鉛
のように心にのし掛かってきた。

「ど……どういう意味?」

「お前が見てんのは、本当のケンさんの姿じゃない」

「本当の姿?」

「俺は、お前が誰から何を聞いたのか知らねぇーし、ケンさんがお前に何を話したのか知らねぇ」

「……」

「だけど、これだけは言える」

「今回、ケンさんが動いたのは全てお前の為だ」

「……」

「お前が忘れちゃいけないのは、ケンさんがあいつをどうしたかじゃない」

「……」

「お前の為にケンさんが何をしてくれたかじゃねーのか?」

……確かに、海斗の言う通りだ。

なんで私は気付く事ができなかったんだろう?

どこで私は大切なことを見落としてしまったんだろう?

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