Pure Heart~葵とケンの物語~
第11章 暗闇
「任せろ」
そう言ったケンさんの声音はとても力強く
その口調はとても優しく……そして頼りがいのあるものだった。
零れ落ちた一滴の涙はまるでそれが引き金になったかのように
次々に涙の粒を呼び
溢れ、零れ落ちていく。
視界は完全に歪みボヤけた。
ずっと1人部屋に篭り
孤独を感じながら泣いていた時と違い
今は安心感に満ちている事を実感できた。
「今は思う存分泣いていい」
「……」
「だけど、お前があいつの為に泣くのは今日で最後だ」
「……」
「思う存分泣いて気が済んだら、ちゃんと飯を食ってちゃんと寝ろ」
「……」
「あいつに『俺と別れても全然平気なのか』って」
「……」
「『寧ろ、俺と別れてからの方がイキイキとしてんじゃねぇーのか』って」
「……」
「葵にも意地があるなら」
「……」
「あいつにそのくらい思わせろ」
「……」
「そんなにやつれて、真っ青な顔をしてたら、結局はあいつを『やっぱ、葵は俺がいねぇーとダメなん
だ』って有頂天にさせるだけだ」
「……そうなの?」
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