Pure Heart~葵とケンの物語~
第11章 暗闇
“彼女”として私に足りないもの。
……浮気相手の女の子にはあって、私には無いもの……。
それがアツシを浮気に走らせているんじゃないかとも思っていた。
恋愛経験がないから……。
他の女の子にはあって自分には無いものがあるのかもしれない……。
そんな想いが私の罪悪感を助長させていたのも事実で……。
思い悩んでいた私にとってケンさんの言葉は救いの言葉だった。
「一度、こっちからはきちんと話をしてんだ」
「……」
「筋はちゃんと通している」
「あとの事は俺に任せろ」
「……ケンさんに?」
「あぁ」
「俺がきっちりカタを着けてやる」
「……でも……」
ケンさんの有難い申し出を素直に受け入れる事ができない私に
「……お前……マジで頑固だな」
ケンさんは額に手を当てると大袈裟に溜息を吐いて見せた。
「……」
「大体、そんな真っ青な顔でこれ以上どう頑張るって言うんだ?」
「……え!? そんなに私、青白い顔してる!?」
私は慌てて頬を両手で覆った。
「あぁ、別人みたいに真っ青だ」
「……!!」
「しかも、自分では気付いてねぇ―かもしれねぇーけど」
「……?」
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