Pure Heart~葵とケンの物語~
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発行者:桜蓮
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ジャンル:恋愛
シリーズ:Pure Heart~葵とケンの物語~

公開開始日:2014/02/10
最終更新日:2014/02/15 17:43

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Pure Heart~葵とケンの物語~ 第11章 暗闇
「……あの……」

「うん?」

「ウチってそんなにお金持ちじゃないんです」「は?」

「姉も私も海斗も聖鈴に通っているけど、それは父方の祖父が聖鈴の卒業生で……」

「……」

「『すごくいい学校だから子供達を通わせなさい』って父と母に提案してくれたから、私達は聖鈴に通え
ているだけで」

「……」

「もし、祖父のその提案と援助がなければ100%公立の中学校に通っているはずだったんです」

「……」

「父は中小企業の会社員だし、母は看護師で……本当に一般的な家庭なんです」

「……」

「一応、毎月お小遣いは貰っているんですけど、それも平均的な中学生のお小遣いの額で……」

「……」

「……因みに、罰金の総額って今いくらですか?」

恐る恐る尋ねてみると

「……ぶっ!!」

ケンさんは勢いよく噴き出した。

「……?」

「葵って……」

「はい?」

「マジでおもしれぇーな」

「おもしろい?」

「心配しなくても今日の分の罰金はチャラにしてやるよ」

「……チャラ?」

「あぁ、こうやって暇人の俺に付き合ってくれてるし」

「……はぁ……」

……良かった。

これでなんとかお小遣いの心配は無くなった。

「でも、今日だけだぞ」

「え?」

「次からは敬語を使ったら罰金を払ってもらうからな」

「……うん……」

反論したい気持ちが全くなかった訳じゃない。

寧ろ、反論したいことだらけだったけど、とりあえずお小遣いの心配から解放された私は安心感から反論

する気にならなかっただけ。素直に頷いた私をケンさんは穏やかな笑みを浮かべて見つめていた。

ケンさんとの他愛もない会話はいつの間にか私から緊張感や恐怖感を拭い去ってくれていた。

このまま他愛もない会話で時間を潰すだけ……

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