コトダマ~The Story of Ayu & Hikaru~
第2章 出逢い
結局、パパに捕獲された私は、リビングへと強制連行されてしまった。
「いや~!!お隣に行くの~!!」
「アユ、ちゃんとお着替えして可愛くしないとお友達に嫌われちゃうわよ」
ジタバタと手足を動かして抵抗していた私は、ママの言葉にピタリと動きを止めた。
……それは困る……。
「……」
「そんなに慌てなくてもお荷物を運び終わったら、ちゃんとご挨拶に来てくれるからアユも可愛く準備して待っていましょうね」
「……うん」
それから、私は朝ごはんを食べて、歯磨きをして、顔を洗って、お気に入りのワンピースにお着替えをして、ママに髪の毛を可愛く結ってもらってリビングのソファに座って待っていた。
途中、何度も2階に駆け上がり自分の部屋の窓から、お隣を眺めた。
そして、お昼ご飯を食べ終えた時、チャイムが鳴った。
その音を聞いた瞬間、心臓が大きくドキンと跳ねた。
あんなに楽しみにしていたのに……。
今、玄関のドアの向こうにはあんなに会いたかった“お友達”がいるのに……。
私の身体は、座っていた椅子に縛り付けられているように動かなくなっていた。
「は~い」
ママが返事をしながら玄関へと向かう。
その後ろをパパが着いて行こうとして
「アユ、行かないのかい?」
いつまでも動こうとしない私に気付いた。
「……行く。」
「うん、一緒に行こう」
差し出される大きな手。
その手に掴まって私は、玄関へと向かった。
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