コトダマ~The Story of Ayu & Hikaru~
第8章 猛勉強
私は、生まれて初めて自分の意思で大きな決意をしました。
“ヒカルの傍にいたい”
その想いを胸に一歩を踏み出しました。
ヒカルの家を出た私は、大急ぎで自分の家へと帰った。
胸に秘めた決意が揺るぐ前に・・・。
私にはしないといけない事があった。
玄関で靴を脱いだ私は、その足でまっすぐにリビングへと向かった。
「ママ!!」
ドアを開けるなり、大きな声を出した私に向けられる2つの視線。
1つは、キッチンで夕食を作っていたママのもの……。
そして、もう1つはダイニングテーブルでビールを飲んでいるパパのものだった。
「パパ、帰っていたの?」
「あぁ、今日は珍しく仕事が早く片付いたんだ」
「そう、おかえりなさい」
「ただいま。それより、アユ?どうしたんだ?そんなに慌てて」
「うん。話があるの」
「話?」
「そう、大切な話」
私の言葉にパパとママは不思議そうに顔を見合わせた。
そして、パパは自分の正面の席を指して
「アユ、とりあえず座りなさい」
と私を促し
「ママもちょっとこっちに……」
と自分の隣の席を指した。
私がパパの正面の席に腰を下ろすと、ママもガスコンロの火を消し、濡れた手をエプロンで拭いながらパパの隣に腰を下ろした。
必死で言葉を探していると
「どうしたの、アユ?」
ママの優しい声が聞こえた。
「うん、私……」
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