コトダマ~The Story of Ayu & Hikaru~
コトダマ~The Story of Ayu & Hikaru~
完結
お礼23
発行者:桜蓮
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2014/02/09
最終更新日:---

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コトダマ~The Story of Ayu & Hikaru~ 第7章 決意
ママに相談して、一筋の光が見えた私は、その翌日の夕方微かに震える指でヒカルの家のチャイムのボタンを押しました。

パタパタと近付いてくる足音に私の心臓はドキドキと高鳴った。

「は~い」

聞こえてきた女の人の声に私は少しの安心感と大きな残念さを感じた。

大きなドアが開き、その隙間から顔を見せたのはヒカルのお母さんだった。

「こんにちは」

「あら、アユちゃん久しぶりね」

「はい、先生に頼まれてプリントを持ってきました」

「まあ、ありがとう」

ニッコリと微笑んだヒカルのお母さん。

でも、その表情はどこか疲れ果てているようにも見えた。

「ねぇ、アユちゃん、ちょっと上がっていかない?」

「えっ? いいんですか?」

「もちろんよ。さあ、どうぞ」

ヒカルのお母さんに促されて私は家の中に入った。

リビングへと案内してくれるヒカルのお母さんの背中を見ながら、私は思った。

……おばさん、少し痩せた?

痩せたと言うよりはやつれたという表現の方が合っているのかもしれない。

ヒカルのお母さんは百合の花のような人だった。

色が白くて、キレイで、上品でいつもいい香りがしていた。

参観日などで他のお母さん達の中にいてもヒカルのお母さんはとても目立っていた。

そんなヒカルのお母さんが今はとても疲れ果てていた。

それは、まるで水を充分に与えられていない花のようだった。

◆◆◆◆◆

ヒカルの家のリビング。

ここを訪れたのは、かなり久しぶりだった。

最後に来たのはいつだっただろう。

私がここに来ていたのは、ヒカルがまだ自然に笑っていた頃だから一年以上も前。

このリビングで一緒に宿題をしたり、DVDを観たり、ヒカルのお母さんが焼いてくれたクッキーを食べたりしていたんだ。

その頃を思い出すと、とても懐かしくて涙が込み上げてきそうになった。

キッチンにいたヒカルのお母さんが戻って来たから、私は慌てて込み上げてきていた涙を飲み込んだ。
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