コトダマ~The Story of Ayu & Hikaru~
第6章 会えない日々
ママが作ってくれたホットミルクはとても温かくて、ほのかに甘くて疲れ果てていた身体に優しく染み込むような感じがした。
「……あのね、ママ……」
「なあに?」
「……私、何もできなかったの……」
「うん」
「本当は何かしてあげたかったのにどうしていいか分からなかった」
「そう」
「大切な人が苦しんでいる時に、なにもしてあげられなかったの」
「うん」
ママはずっと優しい瞳で私を見つめていた。
「ヒカルは1人でずっと苦しんでいたのに……。寂しいって、悲しいって、想っていたのに私は気付いてあげられなかった」
「アユは、ヒカルくんが大好きなのね」
「……うん」
「ねぇ、アユ」
「うん?」
「ママは今からでも全然遅くないと思うわよ」
「えっ?」
「アユはもう遅いと思っているからそんなに悲しいんでしょ?」
「うん」
「アユがヒカルくんの為に何かしたいと思うなら今からだって全然遅くはないの」
「……そうかな?」
「そうよ」
ママはにっこりと微笑んだ。
「きっとヒカルくんの為にできる事がアユにもあるわ」
ママの言葉は、真っ暗だった私の心に一筋の光を与えてくれた。
ずっしりと重かった身体が軽くなったような気がした。
「それから……」
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