コトダマ~The Story of Ayu & Hikaru~
第4章 星空
「アユちゃん、瞳を閉じてみて」
「えっ?」
「いいから」
ヒカルに促された私は瞳を閉じた。
カチっと懐中電灯のスイッチを押す音が聞こえて……。
「アユちゃん、開けていいよ」
私は、ゆっくりと瞼を開いた。
瞼を開けても暗闇に瞳が慣れるまでに時間が掛かった。
ようやく、視界にヒカルの顔が映った頃、ヒカルは空を指差した。
「見て!! アユちゃん!!」
ヒカルの指先を辿るように空を見上げた私は
「うわ~!! すごい!!」
感嘆の声を漏らした。
真っ暗な空には無数な星が輝いていた。
それは、私達が住む街では決して見る事のできない光景だった。
「……キレイ……」
思わず呟いた私にヒカルは
「だろ?」
満足そうな笑みを浮べた。
◆◆◆◆◆
満天の星空を見ながら、私達はいろんな話をした。
普段は口数の少ないヒカルも今日はたくさん話していた。
学校のこと。
友達のこと。
その会話は途切れる事がなかった。
たくさんの星が放つ柔らかい光が私達をいつもより素直にさせてくれたのかもしれない。
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