コトダマ~The Story of Ayu & Hikaru~
第4章 星空
その足音を聞きながら私は少しだけ罪の意識を感じていた。
……ママ、ごめんね……。
私は心の中でママに謝った。
ドアが閉まった後、部屋の前から声を潜めた話し声が聞こえてきた。
『アユはぐっすり寝ていたわ』
『ヒカルもよ。よっぽど疲れたのね』
その声はママとヒカルのお母さんの声だった。
『子供達もぐっすり寝ている事だし、もう少し階下で飲みましょう』
『えぇ、そうね』
2つの足音は階段を降りて行った。
「アユちゃん」
控えめにドアを叩く音が聞こえたのはママ達の足音が聞こえなくなって10分ほど経ってからだった。
私は飛び起きるとベッドを抜け出しドアを開けた。
「行こうか?」
「うん!!」
◆◆◆◆◆
足音をひそめ、階段を降りた私達は、パパ達の声が聞こえる部屋の前を通り過ぎ外へ出た。
街頭さえないそこは真っ暗闇だった。
「……ヒカル……」
不安な声を出す私の手をヒカルの手が掴んだ。
私と同じくらいの大きさのその手を私は頼もしく思った。
「大丈夫」
ヒカルのその言葉は、私の不安感を和らげた。
「こっちだよ」
ヒカルのその言葉と手に導かれて私は足を踏み出した。
ヒカルが持っていた懐中電灯の小さな灯りを頼りにしばらく歩くと、ヒカルは足を止めた。
「ヒカル?」
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