コトダマ~The Story of Ayu & Hikaru~
第4章 星空
そんな中で私とヒカルは顔を見合わせて、こっそりと笑った。
「僕、そろそろ寝るから」
ヒカルがそう言ったのは、21時を過ぎた頃だった。
「あっ!! 私も、もう寝る!!」
そんな私達に大人達は「昼間遊び過ぎて疲れたのね」と苦笑した。
「おやすみなさい」
私とヒカルは大人達にそう告げて寝室へと向かった。
私とヒカルの寝室は長い階段を登った2階。
廊下を挟んだ真向かいの部屋。
そのドアの前でヒカルは私に言った。
「もうすぐしたら、僕達が寝ているか様子を見に来る。その時は、寝たフリをしてないとダメだよ?」
「うん」
「みんながまた階下に行ったら、僕が合図をするから、そしたら部屋から出てきてね」
「分かった!!」
私が頷くとヒカルも頷いた。
「じゃあ、また後でね」
「うん!!」
私達はそこで一旦別れそれぞれの部屋に入った。
◆◆◆◆◆
ヒカルが言った通り、私がベッドに入ってしばらくすると誰かが階段を登ってくる足音が聞こえた。
私は、慌てて瞳を固く閉じた。
ドアが静かに開き誰かが部屋に入ってくる。
私は、寝たフリがバレるんじゃないかとドキドキしていた。
シーツを私の身体に掛け直し「アユ、おやすみ」と額を撫でた。
その声はママの声だった。
ママはまた静かに部屋を出ていった。
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