別話ゲーマーズフロント
別話ゲーマーズフロント

発行者:武上 渓
価格:章別決済
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ジャンル:SF

公開開始日:2014/01/03
最終更新日:2015/08/22 22:09

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別話ゲーマーズフロント 第1章 オールドタイプ
-第1話エントリー


土曜の夕日に染まった、区間快速の車内は、10代20代の若い男女であふれていた。ただひとり、47才の土畑は、アイドルの握手会に紛れ込んでしまった教頭先生のように見えた。
JR区間快速は名古屋を出て、岐阜に向かっている。ドアの手すりにもたれている土畑の耳に、若者達の会話が流れ込んでくる。
ーゲーセンにさぁ無線ラン中継機のやつができるらしいぜ!ー
ー無線ランって、オンラインプロサッカーのやつか?ー
ーあれより性能は低いらしいんだけどぉ完全にゲームの中に入ってプレイできるんだってー
ー戦場の絆みたいな感じなのか?ー
ー目じゃねえよ。モニター画面じゃなくて、直接脳に音声と画像が送られて、目で見るのとおんなじだって。それで、自分の外見と骨と筋肉をスキャンして、そのデータで出来た体でプレイするんだー
-すげぇ撃たれたら痛いのか?ー
-痛くないけど、撃たれた感じが有って、めちゃめちゃ恐いらしいぜー
-やだな~そんなの。俺は戦場の絆でいいよー
ーでも一回やったら、絆なんてタルくて戻れないってー
土畑はため息をついた。ついに、ゲーセンから筐体が消えるようだ。コントローラーも爆音のような効果音も音楽も……。そもそも筐体の無いゲームにゲーセンは必要なのか?いや、有料ならコイン投入ボックスだけは必要か……。


小学生の時にスクロールのモナコグランプリをアーケードでプレイしたのがゲーセンとの出会いだった。インベーダーゲームは学校から禁止された。デカイ家庭用ゲーム機がクリスマスに家にやって来て、バーで打ち返すテニスやブロック崩しで父親と命懸けで闘った。そしてPSでゲーセンから遠ざかり、戦場の絆で再びゲーセンに通うようになった。そして、また何か革新が起こったらしい。しかし、どこまでリアルになっても人は慣れてしまう。しかし、この後その革新は、リアルどころか現実との境を越えてしまう。生身の体で、住んでいる街でゲームをプレイする事になる。慣れるどころか、それはまさに、悪夢を絵に書いて額縁に入れたと言ってよかった。その地獄の使者の名は、中島勝義…高校の同級生。その電話は、岐阜駅の5番ホームに降りた時に掛かってきた。
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