ワイバーンギフ
ワイバーンギフ

発行者:武上 渓
価格:章別決済
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ジャンル:SF

公開開始日:2013/12/31
最終更新日:2014/01/01 10:22

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ワイバーンギフ 第1章 誕生前夜
-第3話岐阜ワイバーンギフ誕生



次の土曜日。
島村でチェニックを見ていると、携帯が鬼束ちひろのビューティフルファイターを歌い始めた。
「はい…」
-カズ?おじさんだ。何してる?
「買い物だよ」
-また1人で島村かぁ?15分24秒で行く。それまでに買い物を済ませられるか?
「買い物は1人がいいんです~それはいいけど。どうしたの?」
-クラブハウスと練習グランドが出来た。膝肩君に連絡してくれ
「わぁ!やった~。すぐ連絡する」
気付くと、周りのお母さん達が見ていた。
「すいません」
慌て携帯を切ると、店の外に出た。



ドキドキしながら、電話帳のリストから膝肩敏文を選んで、呼び出し音を聞きながら待った。
-はい
「もしもし。膝肩敏文君の携帯ですか?」
-そうです
「能登島です」
-あぁ!カズさん。
「今大丈夫ですか?」
-大丈夫です。復帰に向けて、心肺能力のトレーニングしてました。
「そうなんですか!今秀彦おじさんから電話が有って、クラブハウスと練習グラウンドが出来たって連絡が有りました」
-よしっ!ありがとうございます!カズさんのおかげです。カズさん大好きです!
「えっ!いや…あの…そんな」
私は急に恥ずかしくなった。そして、奥手の自分が初めて男の子に電話している事に気づいた。
「あの。また、秀彦おじさんが来たら電話します」
慌て電話を切った。胸がキュンとした。


秀彦おじさんのワゴンに乗ると、不思議そうに顔を覗き込まれた。
「カズどうした?変だぞ」
「何が?」
「やけに綺麗になってる。カズでも色気づくんだな?」
さすがにムッとしたが、不思議な事に腹が立たない。
「そういうのをオジサンって言うの。デリカシーがないんだから」
とりあえず横を向いた。
「そうじゃない。今時の高校生が彼氏なしで色気も無いんじゃ心配だったんだよ」
「大きなお世話です!」
言いながら、落ち着こうと必死だった。



ワゴンの窓は塞がれていて、後ろからは外が見えない。スペースシャトルみたいに、ビッシリ電子機器で埋まっている。
ーボス トウチャ~ク ヒザカタクンハ モウ デテキテマス
スピーカーがピットマンの声を流した。


秀彦おじさんとワゴンを降りると、見違えたように元気な膝肩くんが居た。FC岐阜のユニホームを着て車椅子の上に居る。お母さんがそばに立っていた。
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