ワイバーンギフ
ワイバーンギフ

発行者:武上 渓
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ジャンル:SF

公開開始日:2013/12/31
最終更新日:2014/01/01 10:26

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ワイバーンギフ 第1章 誕生前夜
白い壁に、明るい蛍光灯が部屋を照らし出している。窓は天井から床までの大きな窓で、ガラス越しに長良川と金華山岐阜城が見える。柔らかな陽射しが部屋の中に降り注いでいる。
大きなデスクが有り文房具が揃えて有る。そのデスクの向かいに、黒いソファーとガラスの台が置かれている。質感が実写に近いので、まるで現実のようだ。
-そこはクラブ代表の部屋だ。気分はどうだ?フラフラしたり頭痛は無いか?
空中から秀彦おじさんの声が鳴った。
「とくに違和感は無いけど…むしろ違和感が無いのが気持ち悪い」
-99%以上の適合率だからな。動いてみてくれ
「うん…」
窓に向かって歩いてみた。
何も変わらない。
屈伸して飛び上がってみる。
-ほとんど問題ないな。膝肩くんを入れてみる。部屋を出て、廊下を右に行ってくれ。一番エントランス側の引き戸が室内トレーニングルームだ。そこに寝た状態で膝肩くんを入れる。
「わかった」


部屋を出ると、磨かれた木の廊下だった。間接照明が柔らかな光を放っている。言われた通り、ガラス張りのエントランスが見える引き戸を開けた。
中は緑色の絨毯が敷かれていて、手すりが2本平行に並んでいる歩行練習器が有った。
-カズ。歩行器のそばに膝肩くんを入れる。
「わかった」
荒い画像が現れ、だんだんクッキリして膝肩くんが現れた。実像と何ら変わり無い。
-よし。どうだ?膝肩くん。気分は?
「変わり無いです」
ーゆっくり上半身を起こそう。カズ!支えてやってくれ
「わかった!」
膝肩くんに近づいて、肩に手を添える。触った感触が有る。ユニフォームの下に有る筋肉まで感じられる。
-カズ。触った感じはどうだ?
「どうして、触った感じまで有るの?」
-膝肩くんの骨格と筋肉のデータがカズの脳にフィードバックされているんだ。通信は思ったよりいい。あるいはカズの記憶が補正を加えている可能性も有る
膝肩くんはゆっくりと上半身を起こした。筋肉が動く感触まで有る。
-フラフラするか?どうだ?
「しません」
ーじゃあ。右足の足首を動かしてみよう
「行きます」
膝肩くんの裸足の足を、私は見つめた。膝肩くんの顔に力が入った。足は微動だにしない。
-膝肩くん。脳は必ず思い出す。それまで動かそうとしてみるんだ力は要らない
「駄目だ…」
と言って力が抜けた瞬間。わずかに親指が反った。本人は見ていない。
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