訪問者 ―visitor―
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発行者:秋月乱丸
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ジャンル:SF

公開開始日:2014/01/19
最終更新日:---

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訪問者 ―visitor― 第1章 First contact
 母と、テーブルで新聞を読んでいた父の頭の上に「?」マークが点灯していた。何かと突っかかって来る、生意気盛りの弟がまだ起きて来ていないのは、救いの神がいる証拠かも知れない。
 健吾は僅かな会話のうちに冷静さを取り戻し、ありのままに話しても信じてもらえよう筈が無い事に気付いていたのだった。聞いた事も無い形の飛行物体と謎の美少女。マンガか何かの世界でしか有り得ない話だ。
 唯一、ケータイが証拠になるかも知れないが、水没させたとしか思ってもらえまい。結局は誰も信じてはくれないのだ――そう結論すると、気を取り直して朝食を平らげ、朝の準備を済ませる。ケータイは部活が終わった後か、或いは一日だけ休ませてもらってショップへ行けばいい。データ保存サービスに入っていて良かったと、その点だけは安心しながら学校へ向かう。

 さびれたアーケード街を東に向かい、同じ制服の群れに紛れて自転車を進める。このS高校は、男子が普通の学生服で女子は紺のブレザーという、至ってシンプルというかオーソドックスな制服だ。だがそれがこのアーケード街に似合っているとも言える。かつては市の中心だったこのアーケード街も、すっかり閑散としてしまった。
 やはり個人商店では、1980年代から流入して来た大資本に対抗出来ないのだろう。すでに畳んだ店も目立つ。だが近年、町おこしの一環として新しい店が入ったり、フリーマーケットを開催したりと、僅かながら活気を取り戻していっているようだ。
 アーケード街半ばで、いつも通りに現在付き合っている同学年の彼女――黒瀬くるみ――が待っていた。ショートカットがよく似合っている。やや小柄だが、いわゆる健康美人といった印象だ。くりくりとした目が活力を感じさせる。

「おはよう」
「ああ、おはよう」
「昨日の夜はどうしたの? ケータイ通じなかったよ?」
「ああ、なんかブッ壊れたんだよ。今日は部活休んでショップに行かねぇと」
「あーそりゃ仕方無いわね。で、何をやらかしたの?」

 当然の質問をされるが、UFOの話をしたところで冗談としか思ってはもらえまい。

「いや、俺もよく分かんねぇんだよ、突然壊れてて。不良品なんじゃねぇの、コレ?」
「それ半年ぐらい使ってるじゃない。今更そんな……なんかアヤシイ事したんじゃないの?」

 悪戯っぽい顔で覗き込むくるみ。男なら大抵はそういう所が可愛いと思うだろう。

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