訪問者 ―visitor―
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発行者:秋月乱丸
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ジャンル:SF

公開開始日:2014/01/19
最終更新日:---

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訪問者 ―visitor― 第5章 last competition
 ならば男は当然のようにちやほやしようし、本来の姿は異星人なのだから恋愛関係のトラブルも無かろう。人間がコオロギに惚れたりしないのと同じようなものかも知れない。
 それに知能も相当なものだろうから、同性とも上手くやれるだろう。それ等は現在進行形で証明されている。

「まぁいいや。兎に角だ、今日は一言謝りたかっただけだ。これでスッキリしたよ」
「そう。じゃ、お役に立てたのかしら」
「それは……少し違うんじゃないか?」
「あら、そうなの?」

 キョトンとした沙綾の顔に、数瞬見とれてしまった。かりそめの姿とはとても思えない、自然で美しい表情だったのだ。

「まぁそれはそれとして。部活は引退するけど、走る事はやめない。だから今までと同じようにここへ顔を出すよ、いいだろ?」
「もちろんよ、私は貴方を観察しなきゃいけないんだし。来てもらわないと困るわ」
「そういやそうだったな。忘れちまってた」

 いつの間にか、観察されていると言う事を意識しなくなっていた。良い事なのだろうか? それとも洗脳か、それに近い事でもされたのだろうか? 自分で意識しないうちに、友達に会うような感覚になっている。それはもしかしたら、自分の法が馴染んでいっているのだろうか。ヌアサが異星人であるという意識は依然としてあるのだが、彼女はそれ等も含めて観察しているのだろうか。
 問い質せば答えてくれるかも知れない。が、何故かこの時の健吾はそうしたくはなかった。答えを聞いたら最後、今までのようにはいかなくなる。そんな気がしたのだった。

「じゃ、そろそろ帰るわ」
「気をつけてね」

 軽く手を挙げて沙綾に答え、斜面を下りていく健吾。気分が軽くなっただけ、足取りも軽くなったような気がする。夜道を駆け抜けていく姿は、力に満ちたものだった。



 ほどなく母艦アムルタートに戻ったヌアサに、中枢母艦ハルワタートから緊急連絡が入った。それは風雲急を告げるものだった。





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