訪問者 ―visitor―
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発行者:秋月乱丸
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ジャンル:SF

公開開始日:2014/01/19
最終更新日:---

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訪問者 ―visitor― 第5章 last competition
 目を覚ますと、もう夕刻だった。いつの間にか家族も揃っており、健吾が一番好きな鶏のから揚げがテーブルの中央で山盛りになっていた。早速夕食の中で結果を報告する。

「そうか、いいとこまで行ったのに残念だったな……悔いは無いか?」
「ああ、やれるだけの事はやったしな」
「ならいい、胸を張っていろ」

 父の健介が頷きながら語る。

「最初は、お前がそこまで行くなんて想像もしなかったなぁ」
「なんだよ、息子に期待しなかったってのかよ?」
「……今だから明かすがな、健吾は気管支喘息があったんだ。インターハイなんか夢にも思わんだろう、そりゃな」
「はぁ!?」

 健吾と弟の健治が目を丸くして驚く。

「隠すつもりは……あった。なぁ母さん」
「そうねぇ、隠しておこうって」

 夫婦で頷き合っている。

「いやいや、自分の事なんだからよ! 教えておくべきだろう!」

 さすがにこれは平静ではいられない。しかし、健介は茶碗と箸を置いてゆっくりと語り始めた。

「まぁ聞け。そうだな……まず小さい頃の自分を思い出してみろ。お前は外で遊ぶ事も稀だったはずだ」
「……確かに」
「喘息のせいで近所の子と駆けっこさえまともに出来なかった。そこへ持ってきて、病気を意識させ過ぎてもいけない。ならいっその事、知らせないでおこうと結論したんだ」
「そうだったのか……」

 何故か弟の健治が納得しているが、健吾はそれどころではなかった。

「じゃぁ、なんで親父は陸上部に入るよう勧めたんだ? そう、中学に入った時だ。俺は美術部に入ろうと思ってたのに」
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