訪問者 ―visitor―
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発行者:秋月乱丸
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ジャンル:SF

公開開始日:2014/01/19
最終更新日:---

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訪問者 ―visitor― 第1章 First contact
 そして少女は右手をゆっくりと上げ、健吾の眉間に人差し指を向けた。この時、健吾は少女の手首に不思議な輝きを放つブレスレットがあるのに気付いたのだが、その瞬間。傍目には見えない程の、細い光が指先から放たれた。
 その光が健吾の眉間に届いた瞬間、健吾の意識は闇に包まれた。

「さぁこっちへ」

 少女が健吾の手を取り、細い路地へ誘う。健吾は虚ろな表情で従う。焦点の合っていない目と、だらしなく半開きになっている口。意識を無くしているのは明白だった。
 人目につかない辺りまで入り込むと、少女はおもむろに健吾の首に腕をまわし、口づけをした。数秒後、唇を離すと――両者の唇を青白い光が繋いでいた。その光の中を無数の見慣れない記号や幾何学模様が流れ、健吾の口から少女の口の中へと流れ込んで行く。
 猛烈な勢いで流れ込む無数の記号を最後の一つまで飲み込んだ少女は軽く眼を閉じ、健吾の首に回した腕を解いた。

「OKよ。さぁ帰りなさい」

 と命じると、健吾は虚ろな顔のままに頷き走りだした。

「さて、こちらも準備に取り掛からないとね」

 呟いた少女は闇の中にその姿を消した。



 健吾が再び意識を取り戻したのは、翌朝の事だった。ベッドの上で、きちんとパジャマも着ていた。まだ生々しい記憶として残っている昨夜の出来事を、『夢だったのかも知れない』と思いつつ時計の日付表示を確かめると、確かに次の日になっている。そしていつも通りの時間だ。
 だが――謎の少女と出会ってから後の記憶が無い事に気付いた。疑念に駆られてケータイを手に取る。ファイルを開くと、データが全て消えていた。頭の中が真っ白になり、冷たい手で心臓を掴まれたかのような感覚に襲われる。『恐怖』と言う名の手だ。
 半ば恐慌状態に陥った健吾は、一気に階段を駆け下りて台所に突入し、いつも通り朝食を作っている母に問いかけた。

「母さん、俺、昨日いつ頃帰った!?」
「いつって……いつも通りだったわよ。10時過ぎだったかしら」
「その時の俺の様子、どうだった?」
「ん~、別にいつも通りよ。少し無愛想だったけど、疲れてればそんなもんでしょ。どうかしたの?」
「いや、じゃぁさ! 何か変わった事は無かった!? 停電したとか! TVやHDレコーダーが壊れたとか!」
「何にも無かったわよ。なんなの?」
「いや別に……気のせいだったみたいだ、ごめん」
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