訪問者 ―visitor―
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発行者:秋月乱丸
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ジャンル:SF

公開開始日:2014/01/19
最終更新日:---

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訪問者 ―visitor― 第5章 last competition
 そんな中で健吾は競い合う。日々の練習の成果を出し切れるのか? 不安は当然ある。だが思いの外、緊張はしていなかった。開会前の騒ぎの所為か、リラックスとまではいかないが、筋肉もメンタルもかなりほぐれてきていたのだった。
 ジャージを脱ぎ、ゼッケンのついたユニフォーム姿になる。濃いブルーのユニフォームだ。そして係員の誘導に従ってトラックに向かう。他校の選手達と合流し、順番通りに並ぶ。一次予選の第三レース、第三レーンだった。
 順調に第一レース第二レースと進み、ついに健吾の出番が来た。スターティングブロックを調整し、少し下がって体をほぐしていると、アナウンスで各選手が紹介されていく。ゼッケン番号、校名、名前が読み上げられ、選手は手を上げて答える。

 全員がアナウンスされると、皆位置に着く。お馴染みのクラウチングスタートの姿勢だ。審判員の「用意」の声で一斉に腰を上げ、一瞬で空気が張り詰める。そして号砲が響く。同時にダッシュ。
 が、すぐさま二度目の号砲が鳴った。誰かがフライングをしたのだ。どうやら第一レーンの選手のようだった。だが、いちいち咎める者はいない。どうしても避けられない事なのは皆が分かっているし、二度繰り返せば失格だ。何よりもそんな事を気にするより、自分の集中力を切らさない事、そしてテンションを保つ事に集中しているのだった。

 再び位置に着く。
 「用意」の声。
 号砲。
 ダッシュ。

 健吾の手足が力の限り動く。筋肉が躍動し、スパイクを履いた両足が地面を蹴る。体が風を切って進む。全身が連動し、ただひたすら前に向けて走る力を生み出し続ける。体内の血液が沸騰したかのように熱を帯び、細胞に酸素を送り続ける。
 同時にスタートした6人の選手が、ほぼ前後1mの間にかたまってゴール。接戦もいいところだった。
 すぐにアナウンスが流れ、健吾は二位だった事が分かった。上位二選手が二次予選への出場切符を手にできるルールだ。何とか次に繋がった事が分かり、小さくガッツポーズをとる健吾。

 観客席で応援していたくるみが沙綾の肩を揺すり、おおはしゃぎしながら声援を送っている。
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