訪問者 ―visitor―
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発行者:秋月乱丸
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ジャンル:SF

公開開始日:2014/01/19
最終更新日:---

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訪問者 ―visitor― 第5章 last competition
 顧問の寺坂がはっぱをかける。部員も気合が入る。キャプテンの木口が皆に怪我をしないよう、体調管理をしっかりするよう訓示して会場を後にした。一旦学校まで全員で帰り、三々五々帰って行く。
 健吾も仲の良い連中といつものように帰って行った。帰宅後、落ち着いてからくるみに電話で結果を伝える。

「やったじゃん! インターハイ予選は無理そうだって言ってたのに、出れるんだ!」
「結果は期待できねぇけどな。自分の実力は分かってるつもりだ」
「そんな事言ってたら、実力も出せないで終っちゃうよ。勝つつもりでいかないと悔いが残るかも知れないよ」
「……確かにそうだな。分かった、勝つつもりで――全力で行くわ。結果は、終わるまで気にしねぇ事にする」
「そうそう。まずは実力を出し切る事だけを考えよう」

 くるみと話しているとポジティブになれる自分がいる。その事実が健吾に力をくれる。そんな彼女に、自分は何を返してあげられるんだろう? ふと自問してしまうのだった。考え込んでいても埒が明かないと判断し、夜の自主トレに備えて体を休める事にした。この辺りの切り替えは早い若者である。
 そして夕食も終え、いつもの時間に出発する。しばらく走ると――あの古墳が見えてきた。沙綾と対話をした、あの古墳だ。彼女がやって来てから約一週間が経つ。その間に三回この古墳に登り、思いつく限りの沙綾に疑問をぶつけたのだった。

「地球へ移住するっても、具体的にどうするつもりなんだ、お前さん達は?」
「……理想的には、こうして地球人の姿を借りて――」
 沙綾はくるりと一回転してみせる。それだけでも舞を思わせる、優雅な動きだった。
「この星の文化や風習、伝統や歴史を学びながら共に暮らせたらとは思っているの。それが無理なら……」
「無理なら?」
「どこか無人の砂漠か荒地でもいい、自治区のような地域をもらってひっそりと暮らすか。或いは海底にでもドーム型都市を作ってそこで暮らすか。そんな感じね」
 健吾は「そこまでして移住したいのか」と疑問に思うが、沙綾は「滅びるよりはいい」という。確かに絶滅したくないのは、どの星の生物でも同じなのだろう。僅かな可能性でも……というのも、もっともな話だ。

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