訪問者 ―visitor―
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発行者:秋月乱丸
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ジャンル:SF

公開開始日:2014/01/19
最終更新日:---

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訪問者 ―visitor― 第5章 last competition
 沙綾がやって来てからの数日間は、健吾とって受難の日々と言えた。基本的に沙綾は健吾と同行する事が多いので、結果として「彼女がいない連合」と「湯浅沙綾を崇める会」の両方に付きまとわれ、神経をすり減らす一方だったのだ。
 健吾は沙綾と恋人同士というわけでもないので、「彼女に近づくな」とも言えない。沙綾の方も彼らに冷たくするというわけにもいかない。転校してきたばかりという設定だし、調査員がトラブルを起こすなどもっての外だ。一度彼らを追い払ったブレスレットの効果―― 一時的な精神支配――も、短期間に繰り返し使うと対象の脳に障害を起こすため、そう何度も使う事は出来ないのだった。

 また「連合」と「崇める会」の対立関係も表面化してきた。沙綾とかかわる者に対する嫉妬を原動力とした「連合」と、沙綾を崇める事でお近づきになる事に成功した「崇める会」。不仲になるのは時間の問題だったのだ。
 中には両方に所属する者もいたが、それが発覚するやいなや「連合」と「崇める会」双方の代表者立ち会いの元で、どちらか一つに帰属するよう迫られた。対立という関係にある以上当然と言える事ではあるが、何とも息が詰まる状況だった。だがそれも両団体に限られた話で、一般生徒達には別世界の事だ。
 そして健吾も一般生徒である。沙綾と関わりがある――とは言っても一方的に観察されているだけだが――とは言え、「連合」にも「崇める会」にも所属していない。両団体も健吾と沙綾がかなり淡白な関係であると認識したのか、健吾に対しては沙綾と同行している時以外はノーマークになっていった。週末を迎える頃には、放課後の部活辺りから安心して活動できるようになっていた。
 そして土日にかけて開催された県主催の陸上競技記録会で、健吾は表彰台こそ逃したものの、まずまずの記録を残した。これによって翌月のインターハイ予選に出場する事が決まった。

「次は三年生にとって最後の大会になる。みんな悔いを残すなよ! 今回出ない者も、思い残す事の無いように、しっかりバックアップしてやれ。練習に付き合うなり何なり、自分にできる事があるはずだ。自分の分まで走ってもらうつもりでやれ!」
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