訪問者 ―visitor―
訪問者 ―visitor―
完結アフィリエイトOK
発行者:秋月乱丸
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:SF

公開開始日:2014/01/19
最終更新日:---

アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
訪問者 ―visitor― 第4章 morning panic
 といわゆる「男泣き」が爆発したのである。感極まったのであろう、感謝だか感激だかの言葉を述べているようだが、もはや何を言っているのか分らない。言葉になっていないのだ。抱き合って泣いている者、天を仰いで泣いている者、這いつくばって泣いている者……かなり異様な状態である。遠巻きに眺めていた他の生徒達も、足早に立ち去って行く。

「……俺達も行こうか」
「……うん」
「……そうね」

 もう付き合いきれないと判断したのか、或いは関係者と思われたくなかったのか。健吾が促すと沙綾もくるみも『崇める会』を放っておいて靴箱へと向かい、教室へと向かう。くるみと別れ、健吾と沙綾が教室へと入りながら小声で何やら話している。
「上手いもんだな?」
「あのぐらいは学んだのよ、これまでの経験で」

 それぞれ席に着くと、ほどなくチャイムが鳴った。朝一番の騒動で、かなり時間を取られたらしい。担任の坂本が来るまでのあいだ、中村が健吾に話しかけてきた。

「朝から大変だったな」
「見てたのかよ」
「あれだけ騒いでりゃぁ当然だろ。あれこれと巻き込まれる奴だな」
「……好きで巻き込まれてるんじゃねぇぞ?」
「そりゃそうだろうよ……と、来たか」

 坂本の到着を察知して中村が席に戻る。また騒々しい一日が始まろうとしていた。



38
最初 前へ 35363738394041 次へ 最後
ページへ 
TOP