訪問者 ―visitor―
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発行者:秋月乱丸
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ジャンル:SF

公開開始日:2014/01/19
最終更新日:---

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訪問者 ―visitor― 第4章 morning panic
「お前らなんでいきなりこんな事をおっ始めたんだ?」
「決まってるだろう。湯浅さんがあまりにも美し過ぎるからだ!」

 恥ずかしげもなく言い放つ竹本に冷ややかな視線を浴びせつつ、健吾が氷のような言葉を放つ。

「なら好きにすりゃいいがな、何年か経ったらお前ら……夜中に突然今日の事を思い出して、蒲団をかぶって一人でジタバタする羽目になるんだぞ?」

 身も蓋もないとはこの事である。だが、脳をピンクのヴェールで覆った竹本には通じなかった。拳を握り締めて力説する。

「いいや俺達はそうはならん! なったとしても悔いは無い! 今この瞬間を俺達は全力で生きたのだ!! そう、完全燃焼して真っ白に燃え尽きた!!」
「燃え尽きてどうすんだお前……人生終わったって事だぞ」

 そんな突っ込みも空回りのようで、快気炎を上げる竹本は後ろに付いて来る面々を示し、朗々と述べる。

「見ろ! 彼らの晴々とした表情を! お前に朝からこんな顔ができるか!? いいやできまい! 我々と貴様とでは、人生の充実度が桁違いなのだ!!」

 確かに彼らの顔を見ると、いわゆる「やり遂げた男の顔」になっていた。満ち足りた笑顔。「我が生涯に一片の悔い無し!」とでも叫びそうなほどの清々しい面持ち。確かに健吾には出来そうも無い。ただ沙綾を神輿で運んだだけのくせに。

「ああ分かった、もうお前らの好きにしろ。にしても……やけにごつい面子が集まったもんだな」

 ざっと見ただけでも、空手部副主将の重近(しげちか)、ラグビー部キャプテンの東條(とうじょう)、ボクシング部副キャプテンの渡邉(わたなべ)、柔道部主将の古園(ふるぞの)等々、校内でもトラブルは絶対に避けたいタイプが半数近くを占めていた。

「うむ、いいところに気がついたな。つまり……湯浅さんの魅力は男度数の高い、つまり『漢(おとこ)』ですら容赦なく惹き付けてしまうという事だ!」
「ああそうか、それは良かったな。とにかく俺はお前達と関わるつもりはねぇからな」

 きっとこいつは、こうやってアジ演説でリーダー的ポジションに収まったんだろうな――と考えながら、彼らと距離を置く事を宣言した。
 そのつもりだった。

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