訪問者 ―visitor―
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発行者:秋月乱丸
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ジャンル:SF

公開開始日:2014/01/19
最終更新日:---

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訪問者 ―visitor― 第1章 First contact
 その飛行物体が、左手およそ300m程向こうに見えている作山古墳(つくりやまこふん)の真上で停止した。全国第9位の大きさを誇る前方後円墳の上だ。大してあるワケでもない街明かりを反射した飛行物体の下面が僅かに輝いている。
 健吾は頭の中心がキュッと絞られるような、特殊な感覚を感じていた。同時に胸の中の何かが飛行物体の方へ向けて動き出しているような感覚もあった。
 ――直感――
 健吾が「これだけは誰にも負けない」と豪語している直感が働いている時の、独特の感覚だった。そしてその直感が今、あの飛行物体へ近付けと命じているのだ。

「ようし、行ってやろうじゃん」

 気合いを入れて、目の前にある小道を左に曲がり古墳に向けて走って行く。奇妙な事に恐怖はさほど感じていない。警戒心や恐怖心よりも好奇心と期待――平凡な日々が終わるかも知れないという期待――が若い胸中を満たしていたのだった。
 古墳まであと100mという辺りまで接近した時、飛行物体の胴体と思しき部分の中央から光の筒が後円部に伸びて来た。そしてその中を、何者かがゆっくりと、漂う様に降りて来て……着地した。
 健吾の視力はいい方だし、飛行物体からの照り返しと、淡い月光でハッキリと見える。その姿は驚くべき事に、どう見ても地球人のものだった。それも健吾と同年代の美少女と言っていい容姿だ。遠目にもわかる整った顔立ちと、女性なら誰もが羨むであろう抜群のスタイル。白皙の肌と純白の着衣、そして長い黒髪が夜闇の中で輝いている様だった。

 ほんの僅かな時間とはいえ、ただ茫然と見とれていた健吾だったが、その少女が振り向き目が合った瞬間。一気に背筋が凍りつき、神秘的な雰囲気は根こそぎ掻き消えてしまった。
 これだけ離れていれば、目と目が合った等とは分からない方が普通かも知れない。だが、健吾は分かったのだ。彼女と目が合ったその瞬間、まるで脳の裏側まで貫かれる様な衝撃を受けたのだ。もしかすると魂の奥底まで見通されたのかも知れないと思ってしまう様な、これまで感じた事の無い感覚に晒されたのだった。
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