訪問者 ―visitor―
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発行者:秋月乱丸
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ジャンル:SF

公開開始日:2014/01/19
最終更新日:---

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訪問者 ―visitor― 第2章 at the school 
 それよりも遥かに問題なのが「彼女がいない連合」の級友達である。下級生達の階を通る際、部活・その他で馴染の後輩が「あ、美作先輩」と声をかけた時の事だ。連合構成員の数人が、爛々と光る視線を声をかけた後輩に叩きつけたのだった。「お前を殺して俺も死ぬ!」と台詞を当てても良さそうな表情で。
 下級生にしてみればたまったものではない。完全に硬直してしまい、声を失ってしまった後輩に「スマン」と片手を上げて謝りながら、足早に通り過ぎてしまうしか無かった。
 沙綾のせいでは無い。それは分かっている。昨夜の事は別として、今日の事で彼女に責任は無い。それが理解出来ない程に子供では無いのだ、健吾は。だが事ここにに至っては、多少恨めしくもなろうというものだった。

 沙綾はというと、そんな健吾や級友達を観察していた。傍目にはそれと分かりにくいが、要所要所では健吾や級友達に視線を送っている。だがその視線が級友達の目には一段と魅力的に映ってしまうのだ。
 「いかん……このままじゃ、いつかトンデモない事になりかねん」 
 と呟いた健吾に、沙綾が「外の施設が見たい」と告げた。まさに神の救いである。
 色と嫉妬に我を忘れた級友達も、外の空気を吸えば少しは冷静になってくれると健吾は期待したのだ。


 が


 そんな甘い期待は脆くも崩れ去った。級友達の様子は全く変わらなかったのである。うんざりした気持ちを抑えながら体育館・女子更衣室を経て武道館へ移動して行く健吾達。さすがにこの辺りにくると人影もまばらだ。そして、そんなエリアだからこそ邪推が炸裂したのだった。

「おい美作! こんな人気の無い所に湯浅さんを連れて来てどうする気だ!」
「お前の魂胆は読めてるぞ! ここで不埒な行為に及ぶつもりだろう!」
「そうはさせんぞ! この破廉恥漢め!」
「俺達がいる限り湯浅さんには指一本と言えど触れさせはせん!」
「お前だけにイイ思いをさせてたまるか!」

 邪推もここまでいくと感心しなくもないが、罵られる方は堪ったものではない。そして最後のセリフが彼らの本音である事は明白だった。
 ――もう駄目だ。もう我慢ならん――
 腹を括って振り向いた健吾の前に、沙綾のしなやかな背中があった。

「この辺りが限界みたいね。ありがとう、君の事が良く分かったわ」

 
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