訪問者 ―visitor―
訪問者 ―visitor―
完結アフィリエイトOK
発行者:秋月乱丸
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:SF

公開開始日:2014/01/19
最終更新日:---

アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
訪問者 ―visitor― 第2章 at the school 
 実際の所 健吾も聞いてみたい事もあるし、何よりも「探りをいれてみたい」のが本音だ。沙綾の言動から、昨夜の事が決して夢や幻覚の類でない事は確かなようだが、それならそれで彼女が一体何者なのかが問題になろうというものだ。
 だが休憩時間は隣の席だというのに人間の壁に遮られ、時間の長い昼休憩はこうして情けない名前の連合に付き纏われてしまい、核心に触れる事が出来ないでいる。仕方が無いので当たり障りのない会話でもしておこうと、うどんをすすり始めた沙綾に問いかけた。

「……えらく行儀がいいんだな」
「そうかしら? 日本ではこうするものだと聞いてたんだけど」
「いや、『いただきます』の事だけじゃない。箸の持ち方もちゃんとしてるしな。カナダでも箸を使ってたのか?」
「……家庭ではね。それ以外ではそうもいかないわ。でも、ここ数年で日本食のレストランも増えたし、状況は変わって来てるわね」
「なるほど」

 そんな無難な会話でさえも、嫉妬に目がくらんだ「彼女がいない連合」には言語道断なものらしい。ある者は拳を振るわせ、ある者は歯ぎしりの音が聞こえそうな表情で二人を凝視していた。それで手元が疎かになったせいだろう、うどんに備え置きのウスターソースをドバドバとかけてしまっている。またある者は既に空になったカレー皿と口の間を、スプーンに虚しい往復運動をさせていた。
 ちなみに、「連合構成員」には「かつて彼女がいたが現在は居ない組」と「彼女が居ない歴=人生組」が存在する。見た所では「彼女が居た組」」の方が主導権を握っているようだ。そして、「彼女が居た組」の方が行動力があるという事が問題だった。彼等はいわゆる「リア充」で、行動力が物騒な方向に発揮されてしまいかねないのだ。

 不穏さが増した空気を感じた健吾は、沙綾に校舎内を案内すると伝えて席を立った。

 教室の配置は学校によって様々だが、このS高校は単純に一年生が一階、二年生が二階、三年生が三階となっている。音楽室や化学実験室等は、各階のホームルーム以外のエリアに適宜配置されている。
 つまり各階を端から端まで歩かなければ、全体を掴む事は不可能なのだ。しかも棟は3つある。人文系や理数系、家政科もあるのだ。
14
最初 前へ 11121314151617 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ