訪問者 ―visitor―
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発行者:秋月乱丸
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ジャンル:SF

公開開始日:2014/01/19
最終更新日:---

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訪問者 ―visitor― 第2章 at the school 
 沙綾の後ろに、級友の男子が10人ばかりズラッと並んで付いて来ているのだった。相変わらず暗い情念を宿した眼差しで健吾を見ている。このままでは嫉妬の炎で焼き殺されかねないと判断した健吾は弁明を試みる事にした。

「いいか、俺はただ学校生活に必要な事を説明してるだけだ。なにもやましい点は無い」

 この上なく正直に話しているのだが、級友達はまるで聞く耳を持たないのだった。

「いいや信用出来るか! 俺達『彼女がいない連合』がお前の悪行を黒瀬さんに報告してやる!」
「二人きりにしたら何をしでかすか分かったもんじゃない!」
「どうせ善からぬ妄想を浮かべているんだろう! この恥知らずめ!」
「一瞬といえども目を離すことは出来んぞ!」

 もはや悪の化身扱いである。しかも、要するに彼女がいない男達の嫉妬から来た暴走なのだ。話し合いを諦めた健吾は「もう好きにしてくれ……」と天を仰いで溜息をつき、学生価格のうどんを受け取った。沙綾も続いてうどんをうけとり、空いているテーブルを探して向かいあって座る。情けない名前の連合を立ち上げた級友達は、二人を取り囲むように座ったのだった。
 健吾が七味を取ろうとした時、沙綾が両手を合わせて「いただきます」と静かに呟いた。ただでさえ人目を引く容姿なのだが、その声が更に周囲の耳目を集めてしまう。普通なら同性の嫉妬を買ってしまいそうなものだが、こうして行儀のいい行いを自然に出来るせいだろうか、基本的に同性にもウケがいい。あまり嫉妬を買わないのだ。
 1時限が終わる毎に、彼女の周りには男女問わず級友が群がり質問攻めにするのだ。カナダの学校生活や食事、恋愛事情に至るまで。その一つ一つに対してキチンと答える所もまた、沙綾の人柄を好印象にして行くのだった。

「義務教育課程は、州や公立・私立で違うの。日本と同じ6-3-3制もあるし、8-4制や7-5制もあるの」
「年間行事はキリスト教に基づいたものが殆どね」
「恋愛は……日本の事情を殆ど知らないから。ただの印象でいいのなら、日本よりもおおらかで積極的かな?」

 等々、親身に答えていくのだった。
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