訪問者 ―visitor―
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発行者:秋月乱丸
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ジャンル:SF

公開開始日:2014/01/19
最終更新日:---

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訪問者 ―visitor― 第2章 at the school 
 昼休みとなり、健吾は沙綾を学食へと案内していた。カナダでも学食はあるらしいし、有料なのは同じとの事だが……アチラでは『カフェテリア』なるものだという。
 州によって違うらしいが。翻ってこのS高校は由緒正しい学校である。つまり何かと古い施設なのだ。正直な話、案内する側としては少々気恥かしい面もあるのだ。メニューにしてもカレーだのうどんだのと、いかにも「日本の学食」と言わんばかりのものしか無い。
 かたやアチラはライスクリスピーだのベジタリアンバーガーだのチョコマフィンだの、「お願いだから比べないでくれ」と頼みたくなる様なものばかりらしい。

 沙綾は

「あら、自分達の文化に誇りを持てなくてどうするの? 日本食は世界でも人気なんだし、堂々とすればいいのよ。建物だって味があっていいじゃない」

 と言ってくれたが、そう簡単に割り切れるものでもないし、そこまで単純でもない健吾だった。
 何よりも昨夜の事が気になって仕方ないのだ。確かにHR以降の言動や級友達への態度「だけ」を見れば、いわゆる「いい人」にしか見えない。だが彼女は昨夜、謎の飛行物体から舞い降りた上に「自分に何かをした」のだ。とても気を許す事など出来はしない。健吾が警戒するのも当たり前の事と言えた。
 だが今は坂本に言われた通り、校内を――特に差し当たり必要なのは学食だ――案内しておくしか無かった。うかつな事をして、クラスの多数派を敵に回すわけにはいかないのだ。と言うよりも、流石に「案内を待っている転校性を放っておく」というのは人間として問題がある。
 沙綾が健吾にされた「あんな事」は、去り際に健吾が振った手の形が、「とても口では言えない意味のハンドサイン」になっていたという事で落ち着いた。取りあえずの信用は回復できたのだった。取りあえずでしかなかったのだが。


 食券の買い方を教え、二人してトレイを持って列に並ぶ。少ししてから、健吾が溜息をついて後ろを振り向いた。

「お前らな……いい加減にしろよ」
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