訪問者 ―visitor―
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発行者:秋月乱丸
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ジャンル:SF

公開開始日:2014/01/19
最終更新日:---

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訪問者 ―visitor― 第2章 at the school 
 確かに嘘ではない。重要な部分を完全に省略してしまってはいるが、極限まで要約してしまえばそうなる。
『認めていいのか? いや、いいわけ無いだろう! 訳がが分からないし! でも否定して彼女を嘘つき扱いして大丈夫か?』
 という考えが一瞬で健吾の頭の中を走りぬけた。稀にボクサーが「相手のパンチがスローモーションで見えた」というが、それと同じような現象が起こったのだろう。本人にも分かってはいなかったが。

 結論が出せず、どうしたものかと周囲を見渡すと……男子を中心に四方八方からの、文字通り『突き刺す様な視線』が健吾に集中していた。誰かは分からないが「ミマサカテメェユルサン……」という呪詛ともつかない呟きまで聞こえる始末だ。
 このままでは、健吾は男女問わず村八分にされてしまいかねない。良く見ると「我関せず」と言わんばかりの態度をとっている男子が僅かにいた。「こんな事で騒ぐのは格好が悪い」というポーズだろうか。
 女子の中にも一人だけだが、沙綾に敵意のこもった視線を投げかけている者がいた。昨日まで「このクラスで一番可愛い」と言われていた久保田涼子(くぼたりょうこ)である。自分のポジションを奪われた事を悟ったのだろう。
 この少数派が今後どう動くのかは不明だが、多数派の級友達はあっさりと沙綾の味方なってしまったと見てよいだろう。つまり――

 健吾の立場は非常にマズイものになってしまったのだ。

「ちょ……ええと、ちょっといいか? 昨夜?」
「そう昨夜。もう忘れたの? あんな事までしたのに……」
「いや待て! あんな事ってなんだ!」

 狼狽の極致に至ってしまう。だが周囲は同情など寄せはしなかった。

「黙れ裏切り者! 黒瀬さんはどうするのよ!」
「変態! 異常性欲者!」
「貴様いつからそんな女ったらしに! しかも異常に手が早くなったのか! まだ湯浅さんは紹介すらされてなかったというのに!」
「とにかく後で体育館の裏に来い!」
「処刑方法は選ばせてやる。絞首刑か電気椅子かギロチンか! 好きなのを選べ!」

 等々。周囲から口々に罵られ、健吾は「うあぁぁぁぁぁ!」と頭を抱えるしかない。
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