カルテット~少年と獣たち Vol.2
第2章 1 黒崎
彼には小学校に上がる前から家庭教師がいたが、その男性に性的いたずらを受け続けていたこと。
その結果か、全裸で戸外を歩くという奇行を、繰り返し行っていたらしいこと。
それらの事実の一部が、少なくとも私学の教員の一部の、もしかしたら噂の範囲で父兄の誰かの知るところとなってしまったこと。
入院も経たが、自分たちも医師なので、そういった奇行、精神的な問題が簡単に解決しないことは理解していること。
といった事情を訊き出すことができた。私にとってもう一つ興味深かったことは、彼ら両親はベストを尽くしており、自分たちに息子の状態に関する責任はないと思い込んでいるらしいことだった。私に言わせれば彼らこそ問題で、だからこそ歳のわりに取り澄ましたプライドの高い翔君は、簡単に私の手に落ちるだろうと確信したのだ。彼は甘えられる大人を強く希求している。自分だけを特別扱いで「愛して」くれる者を。かつ性的に早熟で、自己愛と同性愛の芽を包含していた。
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NIGHT
LOUNGE5060