クリアスカイ
第5章 犯行
すれ違う人が俺を見て、口に手をあて、避けるように歩く。
それを見るたびに、心臓がドクドクと高鳴る。
やっぱり俺なんて…。
後ろ向きな考えが頭を過ぎる。
後少し。
もう少しで、城につく。
顔も身体も汗でベタベタだった。
飯もロクに食わずに出て来たから、腹も空いた。
前を向けば、遥か向こうに城が見え、やっとこの地獄から解放されると思うと、口元が自然にニヤけた。
後少しで城につく―…。
気持ちは完全に城へ向っている中、突然声をかけられた。
「お前、そこで止まれ」
怒鳴り声だったのもあり、自分は関係ないと思いながらも、立ち止まった。
見ると兵士が、恐ろしい顔をしながら、こちらに木の棒を向けている。
えっ?何?
もしかして俺の後ろに、指名手配犯でもいるの?
更にドッと汗が吹き出る。
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