みんな・愛してるよ
第15章 第十五話 亮輔の気持ち 優夜の言葉
「優夜くーん? ゲホッ これ何かな? 」ヤバイ! 奴が目を覚ましたってかあの紙束。俺の純情もろとも入った文字の塊?
「寄越せ! 」よし奪った。
これで奴も用済みっと。
「あ。それ直接書いてる方の原稿じゃないから。お前の気持ちとか行動とか書かれないから安心しな」っておぃ!
あっと言う間に逃げやがった! 逃げ足だけは以前より速くなってるな。
「それ何? 優夜」背後まで亮輔が来てて、貸してって手を伸ばす。
「う。ごめん。無…」え? 亮輔顔近いって! 心臓壊れちゃうよ。こんな人が一杯居る所でするのか? するのか?
固く目を閉じ、少し上を向く。
心臓がバクバク早打ちして、緊張して体が強張る。
ドキドキドキドキ……
耳元にいきなり掛かる声。
「優夜。それ見せて」うわー。こんな事言われたら嫌って言えないの判ってるんじゃないの?
そっと耳朶に甘噛みされて首が竦みながら、女の子がラブレター渡すような感じで勢い良く亮輔に渡してた。
スペースワールドの中に入り、ちらちら亮輔見ながら買ってくれたジュースのストローを齧る。
亮輔は俺の事なんてどうでも良さそうに紙の束見ながら微笑む。
それが嬉しかったり寂しかったり悲しかったり。
複雑だ。
「なぁ、お母さんたち帰ってきたんだろ? 」思い出したように亮輔に聞くものの返事なんて来ない位に集中して読んでるし。
「うんー。帰って来たよー。心配してたから連絡しな」それだけ言うと紙の束から目も離さず俺を見る事もなく言ってくる。
(うー! くっそー! なんかムシャクシャしてきた! なんで俺の方見ないわけ? )涙溜まってきてるのを気にせずズボンのポケットをいつも通りに探る。
(あれ? そういえばあの馬鹿から取られてなかったっけ? 携帯……)何故かちゃんとある携帯電話。
何故に気付かなかった俺!
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