みんな・愛してるよ
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成人向アフィリエイトOK
発行者:カオス
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ジャンル:恋愛
シリーズ:大好きだよ

公開開始日:2010/07/21
最終更新日:2012/03/12 22:53

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みんな・愛してるよ 第91章 第九十一話 置いて行かないで
初めての事なのに何故こんなに怖いのか判らない。
健吾がちゃんと起きて三人で仲良く暮らせればそれほど怖くないのに何故だか怖すぎて足が竦《すく》む。
(健吾! 健吾。健兄ちゃん)必死に足を動かして走り始める。
中央病院に着く頃には全身汗だくで髪も額に張り付いていた。
病院の待合室には項垂れている靖隆が一人静かに座ってる。
「靖隆! 健吾は? 健吾大丈夫だよね? 絶対死なないよね? 」息を整える事もなく必死に靖隆の服を揺すった。
静かな沈黙。一度僕の目を虚ろに見つめてそのまま何事も無かった様に視線を外す。
(何か言ってよ! 健吾は大丈夫っていつもの強気な笑顔で言ってよ! お願いだから…お願いだから言ってよぉ! )目には涙が浮き上がってくるけど必死に泣かない様に堪える。
健吾はまだ生きてるって信じたいから。
約束したんだから! 
いつまでもいつまでも三人で居ようねって。
「さっき先生から聞いた。健吾もう居ないんだって」
「嘘だ…ウソだ……うそだぁ! 」病院に居る事も忘れてしまう程自分の大事なものが崩れ去っていく。
大声で叫びだす僕を必死に力強く抱きしめてくる靖隆の腕。
もう永遠に抱きしめてくれる事は無い優しい腕の温もりも思い出せない。
健吾は最後に何て言ったっけ?
僕は健吾に最後何て言ったっけ?
最後に健吾は何して欲しいって言ってたっけ?
昨日の事のはずなのにもうずっと前の話に感じる。
昨日感じてた『ずっと』は一瞬の内に消える事なんだ。
永遠なんて存在しない中僕は声を殺すこと無く泣き続けた。

お通夜もお葬式も行かなかった。
いや、行けなかったんだ。
ずっとずっとほんの少しだけ布団に残ってる健吾の匂い。
忘れないようにずっと大事な心の宝箱に入れておけるように必死に吸い込む。
布団も涙で濡れてる。
健吾が居なくなって三年間は家から出る事すら出来なかった。
健吾と付き合い始めてから健吾とサヨナラするまでの往復切符のよう。
三年目の健吾の命日靖隆が一枚の封筒を持ってきた。
靖隆にも来てたらしい。
靖隆の中身には優輔を頼んだって一言だけ。
最後まで僕の事考えてくれてた。
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